車のラジエーターとは?構造と役割、トラブルなどを解説

これはエンジンを冷却する重要な部品で、壊れると車は走行不能になるほど大切な部品なのです。

この記事では車のラジエーターに付いて解説します。

ラジエーターなんて、聞いたこともない、聞いたことはあるけど、それが一体何か?は全くわからない。そんな人も多いかもしれませんね、普段、車を運転していても全く操作することもなく、知らないところでエンジンを守っているのがラジエーターなのです。

車を動かす中でとても重要な役割を持つラジエーターのことを知り、メンテナンスや点検を行うことで、重大な事故、トラブルを未然に防ぐこともできるのです。

そこで当記事では、ラジエーターのことを知って、安全運転に役立てば幸いです。

ラジエーターとは?



引用元:工具通販のアストロプロダクツ

エンジンは始動するとどんどん高温になりますので、冷却水を循環させてエンジンを冷やしています。

この循環している冷却水は、エンジンを通って熱を吸収し、熱くなってラジエーターに戻って来ますので、ラジエーターはこの熱くなった冷却水を冷やしているのがラジエーターで、この循環サイクルを繰り返してエンジンを効率良く冷却してオーバーヒートを防いでいます。

ラジエーターに不具合が発生すると、冷却水が冷えなくなりオーバーヒートを起こすので、エンジンが壊れるだけでなく走行中に起こると、大きな事故につながり非常に危険です。

ボンネットを開けてエンジンルームの中にあるラジエーターの画像

ラジエーターは車のフロント部分に装着されているのが一般的で、その多くはナンバープレートの裏側に設置されていることが多く、車の走行風を利用してラジエーター本体とラジエーター内部の冷却水を冷やしています。

循環している冷却水は、「ラジエーター液」とか「クーラント」、「LLC(ロングライフクーラント)」などと呼ばれ、冷却水専用に調整された液体が使用されています。

ラジエーターの役割と効果とは?

ラジエーターの役割とは、エンジンの冷却を行うことであり、自動車の走行風を利用して効率良く冷却することで、エンジンの温度を一定に保ち正常な運転ができるようとても重要な役割を担っています。

ラジエーターが保つ冷却水の温度は、約80℃前後とされ、エンジンが運転するのに最適な温度を維持するようにコントロールして冷却水が冷えすぎないよう、また経済的にエンジンが運転ができるようになっています。

ラジエーターの種類は?

ラジエーターには大きく2つの種類があります。

  • 縦流れ方式(ダウンフロー)上から下に向けて流れていく方式
  • 横流れ方式(クロスフロー)水平に横に流れる方式

ラジエーターの冷却効率の良さでは、横流れ方式の方が良いのですが、必要以上に冷えてしまうので車のラジエーターには縦流れ方式が使用されています。

ラジエーターの構造は?

ラジエーター内には冷却水が入っており、エンジンが始動するとウォーターポンプが稼働して常に冷却水を循環させてエンジンを冷やしています。

ラジエーターがエンジンと冷却水を冷やす仕組みを解説すると以下の流れになります。

  • ラジエーターで冷やされた冷却水が循環してエンジンを冷やします。
  • エンジンを冷やした冷却水は高温となってラジエーターの上部にあるアッパータンクに溜められます。
  • アッパータンクに溜まったら順次、コアに流れて運転時の走行風やファンモーターの風によって冷やされます。
  • 冷やされた冷却水はラジエーター下部にあるロアータンクに溜められます。
  • 再びエンジンに送られ、エンジンを冷却します。

この循環サイクルを繰り返してエンジンを適切な温度に保っています。

次にラジエーターを構成する各パーツを解説します。

アッパータンク

ラジエーターの上部にあって高温になった冷却水を一時的に溜めているタンクで、非常に高温になるタンクです。ここに溜められた冷却水は、順次コアへと送られていきます。

コア

高温になった冷却水を走行風などを利用して冷やす部分で、ラジエーターの心臓部とも言える部分です。

冷客水が流れるチューブにたくさんのフィンがあり、走行風を当て熱伝導で冷却水を冷やします、走る速度が遅いなど走行風が冷却に不足している場合は、冷却ファンを回して風を起こし冷却効率を高めるようになっています。

コアにある無数のフィンは、とても繊細な部品で車の走行中に飛んでくる虫や石などでもフィンガ折れ曲がることがありますので普段から点検が必要なのです。

ロアータンク

ラジエーターの下部にあるタンクで、コアで冷やされた冷却水を一時的に溜めてからウォーターポンプを使用して再びエンジンを冷やすために冷却水を送ります。

ラジエータキャップ

ラジエーターキャップの画像

ラジエーター上部にあるアッパータンクに設けられたキャップで、高温になった冷却水が100℃を超えても沸騰しないようにラジエーター内を密封して圧力を掛けて冷却水の沸点を高める役割を持っている重要なパーツです。

冷却水が沸騰すると気体になるので冷却水をコアで冷やすことが出来なくなりますので、コアと同様に重要な部品なのです、またラジエーター内の圧力を一定に保つように調整もこのラジエーターキャップが行っています。

リザーバータンク

冷却水が入ったリザーバータンクの画像

ラジエーターからゴムパイプでつながっている樹脂製のタンクで、一派には白いタンクが使用されています。

このタンクは、ラジエーター内の圧力調整で圧力が高まり流れ出た冷却水を溜めたり、エンジンが冷えて圧力が下がった際に流れ出た不足分の冷却水を、負圧を利用して自動で補充するなどラジエーター内の冷却水量を適切な状態に調整しています。

リザーバータンク内の冷却水量はタンクに記載されている「FULL」と「LOW」の間にあれば正常な状態です。

冷却水

ラジエーター内を循環している冷却水は、普通の水ではなくエチレングリコールと呼ばれるアルコールの一種を使用しており、ラジエター液やクーラント液、LLC(ロング・ライフ・クーラント)と呼ばれ、液体は赤や緑に着色されてラジエーター内が錆びても直ぐにわかるようになっています。

リザーバータンク内にある冷却水の色が濁っていたら、ラジエーター内に錆が発生している可能性があるので、その場合は点検交換が必要です。

冷却ファン

ラジエーターが効率よく冷却水を冷やすためには、走行風を効率よくラジエーターのフィンに当てる必要がありますが、車は渋滞や信号待ちなどで停止することも多く、走行風を得られない場合もあります。

走行風が得られないとラジエーターは冷却できませんので、自動的に冷却ファンを回転させ風を起こしラジエーターのコアに風を送ることで冷却効率を維持し、エンジンのオーバーヒートを防ぎます。

この冷却ファンが故障すると、必要な時に風をラジエーターに送ることが出来ないので、特に夏場のなどエンジンのオーバーヒートになる可能性が高まるので注意が必要です。

ラジエーターホース

ラジエーターとエンジンをつないでるゴム製のホースで、ホースの中を冷却水が流れていて、高温な冷却水が流れても大丈夫なように丈夫に造られています。

経年劣化でひび割れが発生したりすることもあるので、定期的に点検を行ってひび割れが無いか確認し、年数が経過した車両では交換するなどの対策が必要です。

ラジエーターの点検とメンテナンス

ラジエーターはエンジンを守るために非常に重要な部品ですから、その性能を維持するために定期的な部品の交換やメンテナンスが必要になりますので、ここでは点検やメンテナンスの方法を解説します。

冷却水の点検と交換

冷却水の点検はリザーバータンクにある量を確認し、FULL~LOWの間に冷却水あれば大丈夫です、また冷却水が濁っていなければ基本的に問題はありません。

もし、冷却水が不足してるようであれば補充する必要があります、リザーバータンクに指定された冷却水を補充し、もし濁りがあればラジエーター内に錆が発生しいてる可能性があるので専門業者などで点検する必要があります。

冷却水は酸化したり腐食する可能性もありますから、2年を目途に交換するのが望ましいとされていますが、冷却水の中には長期使用が可能なスーパーLLCもありますので、使用する冷却水の使用期間を確認するほか、車両によって交換時期が指定されている場合もありますので、整備手帳なども確認しましょう。

冷却水の交換はセルでも可能ですが、自信のない人はディーラーや整備工場に相談しましょう。

ラジエーターキャップの交換

ラジエーターキャップは経年劣化するので、見た目に異常が無くても5年を目安に交換するのが望ましいとされており、こ交換は外して嵌めるだけなので、誰でも簡単に交換することができます。

また年に1度は目視点検を行い、異常が無いか確認しまた顕著に冷却水が減る場合は、密閉がきちんとできていない可能性もあるので注意が必要です。

ラジエーター本体の点検と交換

ラジエーター本体の点検は、目視確認で冷却水の液漏れが起こっていないか、コアのフィンが虫や飛び石でつぶれていないかを定期的に確認しましょう、またホースのつなぎ目なども液漏れすることが多い場所なので必ず確認しましょう。

ラジエーター本体は車やメーカーによって違いますが、基本的には普通車で12年、軽自動車で10年と寿命は長く交換する機会はあまりありません。

冷却水を定期的に交換していれば不具合の発生も少なく、長く使用できるので大切に取り扱いたいですね。

ラジエーターが故障する原因と症状

車がオーバーヒートしたのでボンネットを開けて、どうしようか困っているイラスト

ラジエーターが故障した場合は、警告ランプが点灯したり水温計が上昇するなどの警告がありますので、警告に気が付いた場合は、早急に車を停止させてエンジンを止めましょう、ここからはラジエーターのの症状や原因、対処方法などを紹介します。

ラジエーターの故障を知らせる3つの警告

  • アイドリングや低速走行時にエンジンルームから甘い匂いがする。
  • 水温警告灯がメーター内で点灯している。
  • メーター内にある水温計の針がHを指している。

このような警告症状が発生した場合、ラジエーターが故障している可能性があります。

水温計の針がホットを指してオーバーヒートを知らせるイラスト

ラジエーターが故障すると冷却水を冷やすことができませんので、エンジンがオーバーヒートを起こしますから、非常に危険ですので、走行中に起きた場合は直ぐに停止しましょう。

ラジエーターが故障する原因

ラジエーターが故障する原因はいくつかの原因があります。

  • タンク類の損傷による冷却水の液漏れ。
  • 冷却水の交換不足によラジエーター内の錆び発生による劣化。
  • ラジエーターホースの劣化による液漏れ
  • ラジエーターキャップの劣化により密閉できず冷却水の蒸発など。

上記のような原因で起こるラジエーターの故障は、冷却水不足になってエンジンがオーバーヒートして走行不能になるばかりか、走行中に起こると重大な事故につながるので定期的なメンテナンスや点検が必要なのです。

ラジエーター故障時の対処方法

走行中にラジエーターの異常や、オーバーヒートなどの警告が発生した場合は以下のように対処するのが良いです。

  • 速やかに安全な場所に車を停止させてエンジンを切る。
  • リザーバータンク内の冷却水の量を確認する。
  • ディーラーや整備工場に連絡する。

まず車を安全な場所に停車させてエンジンを切って、冷却水温が下がるを待ちましょう。ラジエーターの周辺はエンジンの熱で非常に高温になっていますから、直ぐに触ると火傷の危険があります。

冷却水の温度が下がったら、リザーバータンク内の冷却水の量を確認し、もし冷却水が減っていたらラジエーター破損のによる液漏れの可能性があります。

原因がはっきりとするまで走行するのは危険なので、ディーラーや整備工場に連絡しロードサービスなどの手配をお願いしましょう。

ラジエーター交換や修理にかかる費用は?

ラジエーターの修理や交換にかかる費用は概ね以下の通りです。

  • ラジエーターの修理交換費用:2万円~8万円
  • ラジエーター・キャップの交換:1000円~3000円
  • タンク類・ホースの交換:10000円~15000円
  • 冷却水の交換費用:1000円~5000円(冷却水費用別)

ラジエーターを交換する場合、純正品と社外汎用品のどちらを選択するのかで価格は大きく変わります。また工場やディーラーで交換する際に生じる工賃が加算されますので、あくまで参考価格になります。

ラジエーターの交換は冷却水の抜き替えが必要で、エア抜き作業などもありますので簡単な作業ではありませんので、ディーラーや整備工場に作業を依頼することをお勧めします。

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回はラジエーターについて解説させて頂きました。

ラジエーターは、エンジンを循環している冷却水を冷やして、エンジンをオーバーヒートから守る大切な部品です。

ラジエーターは丈夫に造られているので寿命は長く、頻繁に交換することは不要な部品ですが、交換となると修理交換費用が高額になりますので、日常から点検やメンテナンスをして故障を未然に防ぐことがとても大切です。

あなたの愛車が気持ちよく長く乗れるよう、当記事が役に立てば幸いです。