自動車の売却時に掛かる税金は3つ?

この記事では自動車の売却にかかる税金について丁寧に解説します。

車の売却で支払う税金や戻ってくる税金、自動車税が未納の場合や計算方法等についても書いています。

  • 車を売ってお金が入るっていうことは税金がかかる?
  • 会社員なんだけど確定申告は必要?
  • 個人事業主の確定申告は仕分けはどうなる?
  • 自動車税が未納でも車は売却できる?

自動車の売却でかかる税金の疑問、この記事で全て解決できます!

この記事を書いている人
  • 現役の車の査定士
  • これまでに口コミで買い取った車は3000台以上!
  • 現在、廃車買取専門店「ロマリアオート」として独立

記事の最後には、記事の重要な部分をまとめたので、ぜひ最後まで読んでみてください。

車の売却で支払う税金は0円の場合が多い

車の売却では大きな金額が動くことがあります。

そんな時、車の売却で得たお金には税金がかかるのか?と疑問を持ちますよね。

結論から言うと、車の売却で得たお金で税金がかかるケースはとても珍しいです。

車の売却で税金がかかるのは、車を購入した金額より売却の金額が上回った時だけです。

例えば、車の売却によって税金がかかるのは「プレミア化した車」と呼ばれるような車です。

また、購入金額を売却金額を上回ったとしても、控除額が50万円分あります

では、支払う可能性のある税金から解説していきます。

支払う可能性のある税金は3つ

税金を支払うケースは珍しいとお話ししましたが、税金を支払わなければならない場合もあります。

そんな時、どのような仕組みで税金を支払うかを知っておけば納得して納税できるでしょう。

もし課税対象になった時の支払う可能性のある税金は以下3つです。

  • 自動車税
  • 所得税
  • 消費税

1つずつ解説していきます。

自動車税

自動車税は4月1日の時点で車を所有していれば車の所有者が1年分を前払いして納税します

自動車税の納付書が届くのはだいたい5月の上旬頃です。

売却予定が決まっていても課税対象となります。

例えば4月2日に車を売却し、手元に車がなかったとしても一旦は1年分自動車税の支払いをしなければなりません。

自動車税は支払い後還付手続きをすれば翌月分から次にくる3月の分までが月割りで戻ってきます。

所得税

所得については財務省のホームページから以下の説明があります。

 所得税は、会社からもらう給料や、自分で商売をして稼いだお金などにかかる税金です。こうして手に入れた1年分のお金(収入)から、必要経費などにあたる額を差し引いた残りの金額が、所得税の額を計算するもとになる「所得」になります。

収入 - 経費 = 所得

引用元:財務省

この所得に対してかかる税が所得税です。

車の売却によって利益を得た場合、その分の所得税を支払わないといけない場合があります。

会社員だと所得税は、会社が手続きをしてくれるので給料からあらかじめ差し引かれます。

しかし、個人の車の売却となると会社とは関係ありません。

そのため自分で確定申告をする必要があります。

ただ、車の【売却価格】>【購入価格】になることは珍しいケースであるため、利益が発生することも珍しいです。

消費税

車の売却で、消費税が課税されるのは事業者として売却するときです

事業者は消費税を支払いをしなければならないため、売る際は買い取られた価格の中に消費税が含まれていることを理解しておきましょう。

売却した場合、何か手続きをするわけではありません。

個人で売却するときには課税の対象にはなりません

個人で車を売却する場合と、事業者として車を売却する場合は、税金の考え方が異なるため注意が必要です。

車の売却で所得税を支払うケース

車の売却で利益が出た場合、全てに所得税が課税されるわけではありません。

所得税を支払うポイントは2つあります。

  • 車をどのような「用途」で使用していたか
  • 50万円以上の利益が出たか

以上によって所得税の課税があるかどうかが決まります。

まずは車の用途からみていきましょう。

用途は以下の3つに分けられます。

  • 通勤用
  • 業務用
  • レジャー用

通勤用

通勤用で車を使用していた場合、所得税は課税されません。

「日常生活に必要なもの」と見なされるからです。

通勤用の車の中には、日常の買い物や、通勤・通学などの送り迎えも含まれています。

多くの自家用車が通勤用に当てはまります。

通勤用に分類される場合、確定申告は不要です。

レジャー用

レジャー用の車の場合、「日常生活に必要なもの」に分類されません。

レジャー用の車で売却益があった場合、確定申告が必要です。

そのため、車を売却し、購入金額よりも高く売れた時には「譲渡所得」となります。

譲渡所得とは一般的に土地や建物等の資産を譲渡したり、売却したりすることで生じる所得のことです。

譲渡所得は課税対象です。

ただし、譲渡所得には50万円の特別控除があります。

実際に課税対象となる金額は、売却益から50万円を差し引いた金額が課税対象です。

売却益が50万円以下だった場合は、その金額までしか控除されません。

且つ、所有期間が5年以上の場合は50万円を超えたその半分が課税の対象です。

例えば80万円の売却益があれば、特別控除の50万円を差し引いた30万円が課税対象です。

80万円-50万円(特別控除)=30万円

30万円が課税対象ですが、所有期間が5年以上の場合はその半分の15万円が課税対象となります。

個人と事業者では確定申告の処理の方法が異なります。

税理士の方に相談する方が無難と言えます。

また、普段の生活に使うには明らかに不向きであると思われる、高級車なども非課税の対象とはみなされない可能性が高くなります。

このような車は譲渡所得として申告が必要になるため注意しましょう。

業務用

業務用の車の場合もレジャー用の車と同様に「日常生活に必要なもの」に分類されません。

車を売却し、購入金額よりも高く売れた時の売却益は「譲渡所得」と呼ばれます。

譲渡所得は課税対象です。

譲渡所得が(売却益)があった場合は、確定申告が必要です

譲渡所得とは以下の通りです。

譲渡所得とは、土地、建物、ゴルフ会員権などの資産を譲渡することによって生ずる所得、建物などの所有を目的とする地上権などの設定による所得で一定のものをいいます。

ただし、事業用の商品などの棚卸資産、山林、減価償却資産のうち一定のものなどを譲渡することによって生ずる所得は、譲渡所得となりません。

引用元:国税庁 所得の区分のあらまし

レジャー用と同じように、譲渡所得には50万円の特別控除があります。

実際に課税対象となる金額は、売却益から50万円を差し引いた金額が課税対象です。

売却益が50万円以下だった場合は、その金額までしか控除されません。

且つ、所有期間が5年以上の場合はその半分が課税の対象です。

業務用の車の場合、減価償却費として経費を計上している場合があります。

また、譲渡所得(売却益)は消費税を含めて計算する必要があり、車の減価償却の処理だけでなく、リサイクル料などの諸経費も含めて計算する必要があります

減価償却費を含めずに計算し、申告した場合はペナルティの対象となります。

計算方法が複雑になるため、税理士の方に相談することをお勧めします。

車の売却で還付の可能性があるのは自動車税

ここまで、支払う可能性のある税金についてお話ししましたが、戻ってくる可能性のある税金もあります。

自動車税です。

自動車税は4月1日時点で車を所有している使用者に課せられる税金です。

1年分を前払いします。

普通車の場合、申請をすれば還付されます。

自動車税の還付は、法律上で義務はありません。

そのため、自ら申し出ないと売却する側は損をしてしまうことになります。

買取店によって自動車税の還付があるかどうかは様々です。

金額の提示をされたときに自動車税の還付金が含まれているかどうかを確認する必要があります。

ただし、軽自動車の場合は還付はありません

その他自動車の還付でいうと、重量税や自賠責保険があります。

重量税や自賠責保険は車検の時に支払います。

そのため、廃車(永久抹消)にすれば還付があります。

永久抹消とは車をスクラップ等で車を永久に乗れないように解体し、所有者等持ち主の情報を消し去ることです。

個人事業主の車の売却は確定申告が必要な場合がある

個人事業主の場合は、売却する車が普段の生活で使用している車か、業務用の車かによって申告するかどうかが異なります。

売却益が出た場合、法人であれば固定資産売却益で処理しますが、個人事業主の場合は売却ではなく「譲渡」で扱われます。

そのため通常仕事で得ている「事業所得」ではなく「譲渡所得」で扱われます。

帳簿の勘定科目は「事業主借」です。

事業主借はプライベート用のお金を事業用の口座などに移動したときに使用します。

個人事業主の場合、毎年確定申告を行います。

車の売却益があれば「譲渡所得」として申告が必要です。

ただし、個人事業主はその車の用途が【普段の生活に必要な車】か【業務用の車】によって申告対象になるかは変わります。

普段の生活に必要な車の場合、売却益が出ても非課税の扱いとなります。

業務用の車の場合は、譲渡所得として申告の対象です。

車が日常生活に不相応であると感じられるスポーツカーや高級車外車などは非課税の対象としては見なされない可能性があります。

その場合、譲渡所得として申告の対象です。

車を売却したときには、一般的には購入金額を上回ることがほとんどありません。

計算をしてみて車の売却が損失として扱える場合、個人事業主は節税対策となる場合があります。

申告漏れなどがあるとペナルティの対象となるため、税理士の方に相談してみることが確実です。

譲渡所得は総合課税

譲渡所得は総合課税として扱われます。

総合課税とは以下の通りです。

総合課税制度とは、各種の所得金額を合計して所得税額を計算するというものです。

引用元:国税庁 総合課税制度

車を売却して得た譲渡所得(売却益)は損益通算できる総合課税として扱われます。

損益通算とは所得区分が赤字の所から黒字の所で差し引けることを指します。

参考サイト:国税庁 損益通算

事業で赤字が出ていても、車の売却で利益が出れば損益通算によって赤字を補填できます。

ただし、車の売却で利益が出ることは稀と言えます。

事業が黒字で減価償却中の車であれば節税の対象にできる可能性もあります。

計算方法は複雑ですので税理士の方に相談してみると確実でしょう。

ただし、通勤・通学・送迎・買い物などの日常で使用する「通勤用」に分類できる車は非課税と前述しました。

非課税の対象になる車の売却益は損益通算には使うことができません。

譲渡所得の計算方法

譲渡所得の計算方法は以下の国税庁のホームページから引用してみてみましょう。

総合課税の譲渡所得の金額は次のように計算し、短期譲渡所得の金額は全額が総合課税の対象になりますが、長期譲渡所得の金額はその2分の1が総合課税の対象になります。

譲渡所得の金額 = 譲渡価額 - (取得費(注1) + 譲渡費用(注2))-50万円(注3)

(注1)取得費とは、一般に購入代金のことです。このほか、購入手数料や設備費、改良費なども含まれます。ただし、使用したり、期間が経過することによって減価する資産にあっては、減価償却費相当額を控除した金額となります。

(注2)譲渡費用とは、売るために直接かかった費用のことです。

(注3)譲渡所得の特別控除の額は、その年の長期の譲渡益と短期の譲渡益の合計額に対して50万円です。その年に短期と長期の譲渡益があるときは、先に短期の譲渡益から特別控除の50万円を差し引きます。

なお、譲渡益の合計額が50万円以下のときは、その金額までしか控除できません。

引用元:国税庁 譲渡所得の計算のしかた(総合課税)

上記の言葉を解説していきます。

譲渡所得の金額=譲渡価格-(取得費+譲渡費用)-50万円 となっています。

これが基本となる計算式です。

譲渡価格車の売却価格です。
取得費購入価格のことですが、車は使っているうちに価値が下がっていきます。
ですので、「購入価格」から「減価償却費」を引いた価格の「所得費用」と呼ばれるものを採用します。

引用元:国税庁 No.3152 譲渡所得の計算のしかた(総合課税)

これが、(注1)の「減価償却費相当額を控除した金額」に当たります。
減価償却費の計算は以下の通りです。

“減価償却費 = 取得価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数(※)
(※) 1年未満の端数は、6月以上は1年、6月未満は切り捨てます。”
引用元:国税庁 減価償却費の計算について


譲渡費用車の売却時にかかる費用です。
例えば、書類手続きなどを代行してもらったときなどの費用が「譲渡費用」に当たります。
-50万円特別控除の金額です。
50万円以下の場合はその金額までしか控除されません。
ですので、50万円を超えた場合に所得税が課税されます。
参考サイト:国税庁 譲渡所得の計算のしかた(総合課税)

自動車税が未納の車の場合

自動車税が未納の場合は売却が難しくなります。

毎年4月下旬から5月中旬頃に、自動車税の請求書と振込用紙が郵送で届きます。

5月31日までに支払う自治体がほとんどです。

(※5月31日が土日祝日だと次の月曜日までが期限になる年もあります。)

自治体によっては6月の所もあるようです。

車検が切れている納付書を郵送しない自治体もあります。

納付書が届かないからと言って自動車税が免除になったわけではありません。

届いていないけれど、必要な場合は各都道府県の税務署に連絡をして確認をしましょう。

自動車税が未納の場合、少なくとも大手買取業者は断るケースがほとんどのようです。

もし、買い取ってくれる業者を見つけて代行してくれたとしても、代金を立て替えてくれるわけではありません。

自動車税を売却金額の中から差し引いたり、別途で請求するという話が出るはずです。

自動車税の納税は義務ですので必ず支払う必要があります。

納税は遅れてもすることができます。

税金が未納の場合は車を売却する側が損をします。

自動車税が未納の場合は、まず支払いを済ませてから売却する業者探しをするようにしましょう。

【まとめ】車の売却によって税金を支払う可能性は低い

繰り返しになりますが、この記事は以下の内容で記載しました。

まとめ
  • 車の売却によって所得税を支払う可能性は低い
    日常で使用している車は生活に必要なものと見なされるため課税対象ではない。
    また、日常で使用する車は購入したときよりも売却するときに値段が下がることが普通なので利益にはならない。
  • 利益が出た場合でも50万円までは特別控除がある
    レジャー用・業務用の車は課税対象になるが、50万円までは控除される。
  • 売却益があっても日常生活に必要な車の場合は確定申告は不要
  • 個人事業主は節税対策できる可能性がある
    売却は譲渡扱いになるため所得区分は「譲渡所得」
    車は購入したときよりも売却するときに値段が下がることが普通なので損失として扱える場合節税対策となる。
    税理士の方に相談してみましょう。
  • 譲渡所得のポイント
    譲渡所得の計算方法は
    【譲渡価格-(取得費+譲渡費用)-50万円】
    ・車の購入金額<車の売却価格になった時に課税対象となる
    ・50万円の特別控除がある
    ・所有期間が5年以上の場合は50万円を超えたその半分が課税対象となる
    参考サイト:国税庁 譲渡所得の計算のしかた(総合課税)