タイヤを適切に保管すれば、タイヤの性能は約3年間キープすることが出来ます。
大手タイヤメーカーのタイヤテスト夏用、冬用ともに、3年間保管されたタイヤと新品のタイヤの雨天時の走行でも性能はほぼ変わらない結果が出ています。
この記事ではタイヤの寿命をキープできる保管方法を紹介します。
目次
タイヤの寿命をキープするための保管方法
まずは、タイヤの寿命をキープするための保管方法のポイントを3つ紹介します。
- 水洗いしてしっかり乾燥させる
- 空気圧を半分まで下げる
- 縦置きと横置きを使い分ける
1.保管する前のタイヤは水で洗って乾燥させる
保管する前のタイヤ洗いは水洗いで汚れを除去しておきましょう。
そして、水洗い後はしっかりと乾燥させることが重要です。
タイヤは通常の走行だけでも道路の汚れを拾って、砂、泥、油分、化学成分などの様々な汚れがタイヤに付きます。
また、雪が降る地域では凍結防止の融雪剤(塩化カルシウム)がタイヤを傷める原因につながります。
保管前のタイヤを洗う時は水だけで洗うことがおすすめです。
ワックスや洗剤などを使用すると艶が出て見た目もキレイなので気持ちが良いです。
しかし、ワックスや洗剤に含まれている化学成分(石油系溶剤等)がタイヤに浸透することで、タイヤのゴムを傷めたりひび割れの原因につながる可能性があります。
また、ホイールにはブレーキダストが付着していることも多いです。
ブレーキダストは以下の写真のような汚れのことです。
ブレーキダストの主な成分は鉄粉です。
放置し続けるとブレーキダストが酸化して固まり、黒いシミのようになってしまいます。
洗剤は水だけではどうしても取れない取れない場合に使用しましょう。
どうしても洗剤を使用したい場合は、水性の洗剤か中性洗剤を薄めたものを使用し、洗った後はしっかりと流すようにしましょう。
繰り返しになりますが、錆びなどの原因になるため洗浄後はしっかりと乾燥させることが重要です。
2.空気圧を下げておく
タイヤをキレイに洗ったら次は空気を抜いておきます。
保管する時は適正の空気圧の半分くらいまで下げておきましょう。
タイヤの「形状」と「性能」の維持をするためです。
空気を抜くのにはエアゲージを使用します。
エアゲージはカー用品店やインターネットなどで1000円程度から購入できます。
指定の空気圧で長期間タイヤを保管すると、タイヤが緊張状態の負担がかかり、ひび割れや変形などの原因につながります。
縦置きと横置きを使い分ける
一般的にはタイヤの保管は、ホイールがない場合は「縦置き」、ホイールが付いている場合は「横置き」がおすすめされています。
長期間保管する場合は、半年に1回程度はタイヤの接地面や順番を入れ替えるローテーションをすると良いでしょう。
タイヤにかかる負荷を分散させることで軽減することができます。
また、タイヤを保管する時には最初にタイヤの下に段ボールやレジャーシートなどを敷いておくと、地面へ直接接地している面の色移りなどのトラブルを防げます。
ホイールなしは縦置き
ホイールのないタイヤを保管する場合は縦置きが理想的です。
ホイールを取ったタイヤを横置きで長期間保管すると側面(サイドウォール)に負荷がかかります。
サイドウォールは以下の写真を参考にしてみてください。
縦置き保管ならサイドウォールをはじめ、変形しやすい部分を守ることができます。
縦置きする場合はラックなどを使用すると便利です。
ホイール付きは横置き
ホイールが付いているタイヤを保管する場合は、横置きがおすすめです。
ホイール付きのタイヤはかなりの重さです。
横置きならば接地面を広く取れるため重さを分散させることができます。
もし、ホイール付きのタイヤを長期間縦置きするとホイールの重みでタイヤが潰れた状態になります。
そのため負荷がかかりトレッド面が変形し、元の状態に戻らなくなってしまうと使えなくなってしまいます。
トレッド面とは路面とタイヤが設置するゴムの部分のことです。
以下の写真を参考にしてみてください。
横置きする場合は一番下にタイヤキャリーやタイヤパレットなどのグッズを使用すると便利です。
タイヤの保管に適した場所
タイヤを保管する場合、屋外にそのまま放置してしまうと次回使用する際に、劣化して使うことができなくなってしまいます。
保管場所にも注意しましょう。
タイヤの劣化は直射日光や水分などが影響します。
一番理想的な場所は屋内の冷暗所での保管ですが、難しい場合は以下の3つに注意して保管場所を選んでみましょう。
- 雨や湿度の高い所に注意する
- 直射日光や高温になる場所を避ける
- エアコンの室外機などから出るオゾンからタイヤを守る
雨や湿度の高い所に注意する
雨が当たったり、湿度が高い場所ではタイヤのゴムの劣化が早まります。
また、タイヤはゴムだけで作られているわけではなくスチールコードと呼ばれる材料などが内部に含まれていて、劣化する原因にもつながります。
屋外に保管する場合は、風通しの良いすのこの上や専用ラックなどを使用して保管場所を作り、タイヤ用の防水カバーなどをかけて保管しましょう。
タイヤカバーは、カー用品店などで2,000円~3000円程度で売っています。
タイヤを購入した時にお店が入れてくれたタイヤ袋や大きめのごみ袋でも代用することができます。
直射日光や高温になる場所を避ける
タイヤの保管はできれば屋内やガレージなどの冷暗所がおすすめです。
タイヤを高温の場所で長期間保管したり、直射日光が長期間当たることはひび割れなどの原因につながります。
難しい場合は日差しなどが遮られるカバーなどをかけて、風通しの良い所で保管しましょう。
エアコンの室外機などから出るオゾンからタイヤを守る
エアコンの室外機の風が当たる場所は避けて保管しましょう。
エアコンの室外機やバッテリーやモーターなどの高い電圧で稼働している機械の周辺は多くのオゾンが発生しています。
オゾンとは、紫外線と高電圧の放電によって変質した高濃度の酸素のことです。
オゾンがタイヤに当たると、ゴムと化学反応を起こしてひび割れなどの劣化につながります。
また電気器具の近くは火花が起きタイヤに燃え移る可能性があります。
コンセントやバッテリーなどの近くで保管することは控えましょう。
結局何が必要?タイヤの保管に役立つグッズ【3選】
インターネット上の記事で、多くの便利グッズが紹介されています。
タイヤ保管で最も必要な物を3つ紹介します。
タイヤ保管用カバー
タイヤカバーが必要な人は屋外で保管をする人です。
屋外での保管の場合、紫外線や雨からタイヤを守ったり、盗難防止のために使用する方がおすすめです。
屋内で保管する場合は必要ないケースが多いです。
しかし、屋内保管でも室外機の風が当たる場所やバッテリーなどの近くで保管しようと考えている人は、前述したオゾンによってタイヤの劣化を早めることになるので用意する方が良いでしょう。
縦置きはラック、横置きはパレットやすのこ
縦置きする場合はラックがあれば余計にスペースを取らず、スッキリ収納できます。
また、ラックにおいておけばタイヤが宙に浮いているので濡れる心配がなく、風通しも良いためタイヤの寿命をキープすることにつなげられます。
横置きする場合は、タイヤ用パレットやすのこなどを使用すると風遠しよく保管することができます。
エアゲージ
エアゲージはタイヤの空気圧を図るものです。
自分でタイヤの履き替えや保管をする場合必需品となります。
カー用品店などで1000円程度から販売されています。
また電気自動車の場合、ガソリンスタンドに行くことがないためエアゲージは持っておく方が良いでしょう。
タイヤの空気圧が適正でないと燃費が悪くなります。
タイヤは四六時中路面と接地しているため消耗が激しいパーツです。
毎日車を使用している人なら、タイヤの空気圧は月に1回以上は測る方が良いでしょう。
最近は車自体が高性能なので、タイヤの空気圧の管理をより行う方が車の性能を活かした走行をすることができます。
タイヤの保管前後にチェックするポイント
タイヤ交換にはある程度の労力が避けることができませんが、タイヤの状態を確認できる良いタイミングです。
走行の安全性や快適性に不可欠なタイヤの保管前や保管後に行う点検項目について紹介します。
- タイヤの溝の点検
- 傷やひび割れの点検
- 偏摩擦の点検
- 使用年数の確認
1.タイヤの溝(スリップサイン)を確認する
タイヤの溝の残量を確認します。
タイヤの溝は新品の時にはトレッド面の全周で繋がっています。
ですが、使用しているとタイヤがすり減り、溝の底についているスリップサイン(盛り上がっているところ)が見えるようになります。
スリップサインが現れるのはノーマルタイヤは溝の深さが1.6㎜になった時、スタッドレスタイヤは溝の深さが半分以下になった時です。
タイヤによってトレッド面の4~9か所に設置されています。
法律でタイヤの全ての溝の深さが1.6㎜以上存在していることが決められているため、スリップサインが1か所でも出ていれば、車検には通りません。
タイヤの溝の深さが不足していると、雨の日にスリップしやすくなったり、ハイドロプレーニング現象が起こりやすくなります。
スリップサインが出ていなくても、タイヤの溝が少なくなってきたときは、新しいタイヤに交換することを検討しましょう。
2.傷やひび割れしていないか
タイヤの傷やひび割れは、日ごろから点検しておくことも大切です。
タイヤは車の中でも消耗しやすいパーツです。
気付かないうちに縁石に擦ったりして、ダメージを受けている場合があり、一度傷がつくともとに戻すことはできません。
タイヤの材料に使用されているシールドコードにまで達している傷やひび割れは、タイヤバーストなどの大きな事故につながります。
見つけた場合は迅速に交換などの対応を取るようにしましょう。
3.偏摩擦していないか
偏摩擦はタイヤと路面が接地しているトレッド面が均一に摩擦せず偏ってタイヤが減っている状態です。
「片減り」とも呼ばれます。
偏摩擦の原因は、タイヤの空気圧が適正でなかったり、サスペンションに異常がある事などです。
車を無茶に運転して出来ることもありますが、思い当たる節がない場合は車の異常も考えられます。
車屋さんやタイヤショップ、ディーラーなどに相談してみましょう。
4.5年以上経っていないか
タイヤの交換時期の目安は5年です。
10年経っていれば使用期間や距離にかかわらず安全面に不安があるため交換するようにしましょう。
タイヤの製造年はタイヤのサイドウォール(側面)に明記されています。
4桁の数字が刻印されています。
最初の2桁が週で次の2桁が年です。
この場合、「1518」なので2018年15週目に製造されたということです。
ちなみに画像の青色で囲んである部分はタイヤサイズです。
購入などをする際に使用します。
タイヤの見分け方と履き替え時期
タイヤの種類と見分け方を紹介します。
もし不要な方は、一番下の「まとめ」まで飛ばして進んでください。
「まとめ」にはこの記事の重要なところだけをまとめてありますのでぜひ読んでみてください。
ノーマルタイヤ
ノーマルタイヤは冬用のスタッドレスタイヤと区別するために「サマータイヤ」と呼ばれることがあります。
サマータイヤと呼ばれても、夏限定のタイヤというわけではなく雪が降らない地域では通年使用できます。
通常の路面を安全に走行できるように、特定の性能に偏らずバランスの取れたタイヤです。
スタッドレスタイヤ
スタッドレスタイヤの見分け方はタイヤのサイドウォール(側面)に「SUTUDLESS」と表示があります。
見た目はノーマルタイヤよりも溝が深く、ゴツゴツしている印象です。
スタッドレスタイヤはノーマルタイヤよりもゴムが柔らかいため気温が低くても路面との接地面積が広く、グリップ力が高くなります。
そのため、雪道や凍結している路面では性能が発揮できます。
ですが、熱や濡れた路面での走行には弱い面があります。
もし夏に、スタッドレスタイヤを使用すると、タイヤもかなりの熱を持つことになるため、燃費の悪さや、最悪の場合タイヤのバーストなどの大きな事故につながる可能性があります。
また、雨天時の走行ではハイドロプレーニング現象が起こりやすくなります。
スタッドレスタイヤはあくまでも冬用のタイヤとして使用し、冬が過ぎた後はノーマルタイヤに交換しましょう。
スタッドレスタイヤの交換時期について
ノーマルタイヤとスタッドレスタイヤの履き替える時期は、雪が降る1か月前にスタッドレスタイヤに履き替え、雪や氷結が終わったらノーマルタイヤに履き替えるのが目安です。
過去30年データを元に初雪や結氷時期の初日と終日を記載します。
地域 | 雪 (初日) | 結氷 (初日) | 雪 (終日) | 結氷 (終日) |
帯広 | 11/1 | 10/15 | 4/26 | 5/7 |
仙台 | 11/26 | 11/23 | 4/7 | 4/3 |
金沢 | 11/24 | 12/13 | 4/7 | 3/21 |
東京 | 1/3 | 12/24 | 3/9 | 3/5 |
名古屋 | 12/22 | 12/6 | 3/7 | 3/23 |
大阪 | 12/26 | 12/10 | 3/8 | 3/9 |
福岡 | 12/18 | 12/13 | 3/2 | 2/27 |
オールシーズンタイヤ
オールシーズンタイヤは、全天候型タイヤです。
ノーマルタイヤ、スタッドレスタイヤには及ばなくても、乾いた路面、濡れた路面、ある程度の雪道で十分走行することができる性能を持っています。
ヨーロッパや北米ではオールシーズンタイヤは一般的です。
見分け方は、タイヤのサイドウォールに「M+S」と表記があります。
MはMUD(泥、ぬかるみ)、SはSNOW(雪)の略です。
見た目では、トレッド面が全周で四角いブロックのパターンになっています。
タイヤの保管場所がない場合は相談できるところがある
タイヤを保管する場所の確保が難しい場合は、タイヤショップやカー用品店などのタイヤ保管サービスを行っているところがあります。
また、トランクルームで保管する選択肢もあります。
タイヤ保管サービスとトランクルーム違いを比較してみます。
タイヤ保管サービスが向いている人 | トランクルームが向いている人 |
タイヤを運ぶことが難しい 車のその他のことも任せたい とりあえずタイヤだけ保管してほしい | タイヤ交換やメンテナンスが自分でできる その他のカー用品も収納したい 自分の好きな時に出し入れしたい |
その他の特徴は以下にまとめます。
タイヤ保管サービス | トランクルーム | |
依頼する 場所 | カー用品店やタイヤショップ | 不動産会社など |
料金 (1年間) | タイヤの大きさによって変わる 軽自動車 1万円程度~ 普通車 1万5千円程度~ | 屋内、屋外、広さによって変わる 以下は半畳の参考料金 屋内 4~5万円 屋外 5~6万円 |
契約 | 寄託契約のため、倉庫など店舗とは別の場所で保管されている場合が多い。 1~2か月ほど前に取り出しの予約が必要な場合がある | 賃貸契約のため、24時間好きな時に出し入れできる |
【まとめ】
- タイヤは保管前に水洗いし、しっかりと乾燥させる。その後、空気圧を半分まで下げる。
- ホイール付きのタイヤは横置きし、ホイール無しのタイヤは縦置きする。
- タイヤを交換し保管する前や保管後の取り付けの際には、ヒビがないかなど安全性を確かめる